カテゴリー: 社会

  • 従順さのどこがいけないのか

    作者:将基面貴巳

    読書期間:2025年1月?日

    出版社:ちくまプリマー新著

    従順であることや服従することにどんな問題点があるのかを多角的に掘り下げている。それを通じて、公正で生きやすく、持続可能な社会の基礎を考えるような内容になっている。

    鍋島藩の『葉隠』の話が出てて面白かった。『葉隠』には、君主が悪ければ悪いほど、忠誠が本物かどうか試されるのようなことが書いてあるらしく、凄い捻じくれた内容だと著者はいう。

    忠誠の対象が個人なのか、組織や社会全体なのかで、その人間の振る舞いも変わっていく。

    服従の問題、忠誠心の問題、諫言の話、日本人に根付く間違った忠誠についての考察のあとに、我々は何に従うべきかが論じられる。

    神の命令に従う

    自分の良心の声に従う

    共通善に従う

    など論じられている。

    共通善とは人々が共通に良いと思うもの、共同体全体の利益。

    他人を守ってこそ自分も守れる。自己中は駄目。

    自己責任論には他人の利害を尊重するという視点が欠けている。

    権力者にとっては自分のことしか考えない人が増えるほうが、

    他者の事を考える人が増えるよりも好ましい状態が続く。

    どうすれば服従しないでいられるか?


  • 杉森くんを殺すには

    作者:長谷川まりる

    読書期間:2025/01/12 〜 2025/01/19

    出版社:くもん出版

    ネタバレ:注意!!!

    タイトルからはどんな話か想像つかなかった。

    児童文学なので、読んでるとあらすじの予想は付く。

    冒頭、高校生のヒロは杉森くんを殺すことにしたと、兄のミトさんに告げる。

    ミトさんも特に否定せずに受け入れて、アドバイスをする。

    杉森くんって誰でなんで殺すんだろう、杉森くんにいじめ

    られたり、酷いことされてたのかなと思う。

    読み進めるうちに、杉森くんを殺す理由を、ヒロは幾つも考えていく。

    同時に高校の同級生や、中学の同級生との交流が描かれる中で、

    なんかヒロが変なことも分かる。

    杉森くんは杉森百花、ヒロは広瀬結愛という名前の女の子。

    杉森くんとヒロは小学生からの親友。

    杉森くんは中学に上がってから現実に馴染めず、自身もヒロも

    傷つけて孤立し不登校になる。

    心の底では杉森くんを大事に思うヒロも、杉森くんとの関係に

    耐えられなくなり、距離を取るようになる。

    杉森くんは死んでしまう。

    杉森くんがまさか死んでしまうとは思ってなかったヒロは、悔恨

    と自責の念を抱えたまま高校生になる。

    ヒロは美術部で物語の途中から木彫りの動物やいろんなものを

    沢山作っていく。

    傷ついたり悔恨の心をなにか作ることで癒そうとしてるのだろうか。

    近しい人が自死を選んだ場合、悔恨と自責の念に囚われる。

    なんであの時こうしなかったんだろうかとか、なんで気づか

    なかったんだろう、自分のせいだなど。

    そこからどうやって回復するのだろうか。

    帯にある通りに、傷ついた心の再生を描く物語です。


  • 8割の人は自分の声が嫌い

    作者:山崎広子

    読書期間:2025/01/04 〜 2025/01/12

    出版社:角川SSC新書

    この本に興味を持ったのは社会と声の関係を書いてたから。

    声も社会的に規定されているって事を作者が言っていたので読んでみた。

    第五章が「社会と声 生きにくさの正体」というタイトルになっている。

    日本人の女性は1970年代までは、バリバリ声が高くて、その後1980年代以降キャリアウーマンがもてはやされると、ぐっと低くなり、また最近は高くなっているとのこと。日本人の女性の声は常に地声よりは3〜5度高く、この事は先進国の女性では珍しいとのこと。この背景には、儒教の受容以来の男尊女卑的な社会の価値観が無意識的に内面化されており、幼少の頃からそういう声を出すように社会化されているので、そのようになると考えられるようだ。

    確かに、アニメ声とか可愛い声が好きなおじさんたちは沢山いるし、それに癒やしを求める人も周りにいる、キモいなって思う。女性の声も社会の価値観によって規定される、もっと言えばジェンダー差別を基礎に出来てるって言う指摘は耳に痛いものだった。

    他の章は、発生やホントの自分の声を訓練により見つけ習得し、そうすると自信が付いて人生変わる。良いスパイラルが実現するみたいなことが書いてある。

    ケネディとかニクソンとか、学校の先生がボイトレすることで学級崩壊を食い止め、いい学級にした等の例も出してる。

    第五章は面白かったが、参考文献も統計的なデータも一つも載ってないし眉唾に感じないでもない。