• 副題:コミュニケーションとマニュピレーション

    作者:三木那由他

    読書期間:2024/12/31 〜 2025/01/16

    出版社:光文社新書

    コミュニケーションが大事

    コミュニケーションが足りない

    話して理解を深めよう

    飲み行こう

    など、もうけっこうめんどくさい。

    なにか裏の意図があって(裏の意図って言い過ぎかもだけど)やってること多いから嫌なんだろうなと。

    『会話を哲学する』は新書で薄くて読みやすいけどけっこう内容は難しい。

    会話という営みは、コミュニケーションと言う側面と、マニュピレーションという側面があるのではないかという観点から、本の主張が展開する。

    コミュニケーションは発言を通じて話し手と聞き手のあいだで約束事を構築していく営みで、マニュピレーションは発言を通じて話し手が聞き手の真理や行動を操ろうとする営み、と定義されている。

    作者はこのテーマを哲学の問題として取り扱ってるとのこと。この本では、作者が得た知見から、さまざまな会話がどのように見えるかを語ってます。

    ワンピース、鋼の錬金術師、オリエント急行の殺人、パタリロなどいろんな本・漫画のセリフを例にとって説明されているので、漫画や本好きには面白く思えます。

    会話にはマニュピレーションという側面もあるので、何か不誠実で不穏当なこともあるだろうけど、そういう側面もあると分かって対応すれば良いとのこと。

    基本的なスタンスは、色んな人が様々な趣向を凝らして織りなす会話というものに愛着を感じてるとのこと。

    自分も無意識にマニュピレーション使ってるなと思い、もっと自覚しないとなと思った。


  • 作者:将基面貴巳

    読書期間:2025年1月?日

    出版社:ちくまプリマー新著

    従順であることや服従することにどんな問題点があるのかを多角的に掘り下げている。それを通じて、公正で生きやすく、持続可能な社会の基礎を考えるような内容になっている。

    鍋島藩の『葉隠』の話が出てて面白かった。『葉隠』には、君主が悪ければ悪いほど、忠誠が本物かどうか試されるのようなことが書いてあるらしく、凄い捻じくれた内容だと著者はいう。

    忠誠の対象が個人なのか、組織や社会全体なのかで、その人間の振る舞いも変わっていく。

    服従の問題、忠誠心の問題、諫言の話、日本人に根付く間違った忠誠についての考察のあとに、我々は何に従うべきかが論じられる。

    神の命令に従う

    自分の良心の声に従う

    共通善に従う

    など論じられている。

    共通善とは人々が共通に良いと思うもの、共同体全体の利益。

    他人を守ってこそ自分も守れる。自己中は駄目。

    自己責任論には他人の利害を尊重するという視点が欠けている。

    権力者にとっては自分のことしか考えない人が増えるほうが、

    他者の事を考える人が増えるよりも好ましい状態が続く。

    どうすれば服従しないでいられるか?


  • 作者:長谷川まりる

    読書期間:2025/01/12 〜 2025/01/19

    出版社:くもん出版

    ネタバレ:注意!!!

    タイトルからはどんな話か想像つかなかった。

    児童文学なので、読んでるとあらすじの予想は付く。

    冒頭、高校生のヒロは杉森くんを殺すことにしたと、兄のミトさんに告げる。

    ミトさんも特に否定せずに受け入れて、アドバイスをする。

    杉森くんって誰でなんで殺すんだろう、杉森くんにいじめ

    られたり、酷いことされてたのかなと思う。

    読み進めるうちに、杉森くんを殺す理由を、ヒロは幾つも考えていく。

    同時に高校の同級生や、中学の同級生との交流が描かれる中で、

    なんかヒロが変なことも分かる。

    杉森くんは杉森百花、ヒロは広瀬結愛という名前の女の子。

    杉森くんとヒロは小学生からの親友。

    杉森くんは中学に上がってから現実に馴染めず、自身もヒロも

    傷つけて孤立し不登校になる。

    心の底では杉森くんを大事に思うヒロも、杉森くんとの関係に

    耐えられなくなり、距離を取るようになる。

    杉森くんは死んでしまう。

    杉森くんがまさか死んでしまうとは思ってなかったヒロは、悔恨

    と自責の念を抱えたまま高校生になる。

    ヒロは美術部で物語の途中から木彫りの動物やいろんなものを

    沢山作っていく。

    傷ついたり悔恨の心をなにか作ることで癒そうとしてるのだろうか。

    近しい人が自死を選んだ場合、悔恨と自責の念に囚われる。

    なんであの時こうしなかったんだろうかとか、なんで気づか

    なかったんだろう、自分のせいだなど。

    そこからどうやって回復するのだろうか。

    帯にある通りに、傷ついた心の再生を描く物語です。


  • 作者:山崎広子

    読書期間:2025/01/04 〜 2025/01/12

    出版社:角川SSC新書

    この本に興味を持ったのは社会と声の関係を書いてたから。

    声も社会的に規定されているって事を作者が言っていたので読んでみた。

    第五章が「社会と声 生きにくさの正体」というタイトルになっている。

    日本人の女性は1970年代までは、バリバリ声が高くて、その後1980年代以降キャリアウーマンがもてはやされると、ぐっと低くなり、また最近は高くなっているとのこと。日本人の女性の声は常に地声よりは3〜5度高く、この事は先進国の女性では珍しいとのこと。この背景には、儒教の受容以来の男尊女卑的な社会の価値観が無意識的に内面化されており、幼少の頃からそういう声を出すように社会化されているので、そのようになると考えられるようだ。

    確かに、アニメ声とか可愛い声が好きなおじさんたちは沢山いるし、それに癒やしを求める人も周りにいる、キモいなって思う。女性の声も社会の価値観によって規定される、もっと言えばジェンダー差別を基礎に出来てるって言う指摘は耳に痛いものだった。

    他の章は、発生やホントの自分の声を訓練により見つけ習得し、そうすると自信が付いて人生変わる。良いスパイラルが実現するみたいなことが書いてある。

    ケネディとかニクソンとか、学校の先生がボイトレすることで学級崩壊を食い止め、いい学級にした等の例も出してる。

    第五章は面白かったが、参考文献も統計的なデータも一つも載ってないし眉唾に感じないでもない。


  • 作者:青崎有吾

    読書期間:2025/01/01 〜 2025/01/01

    出版社:KADOKAWA

    ネタバレ:注意!

    高校生が主人公の小説。賭け事 x 青春 x 友情。ジャンルで言うと漫画のカイジやライアーゲームに似てるとも言える。ただし、この小説では誰も死なないし大怪我なんかもしない。

    子供の時から、大人になっても、トランプ、ボードゲーム、ファミコン、スマホのゲーム、野球、ゴルフ、など人間は色んなゲームに興じる。この小説では高校生が大事な何かをかけて様々なゲームで対戦する。ゲームは既存のゲーム(グリコ、だるまさんが転んだ等)をアレンジしたオリジナリティあふれるものとなっている。かける何かは文化祭の時の出店場所や、生徒会への入会拒否や、更にそれ以上の事柄。

    タイトルの「地雷グリコ」は最初のエピソードで出てくる。
    じゃんけんして、グーで勝ったらグリコの3歩、チョキで勝ったらチヨコレイトの6歩、パーで勝ったらパイナツプルの6歩分進んで、最終的に目的地に速く着いた方の勝ちというゲーム。恐らく子供の頃に多くの人がやったであろうおなじみのゲーム。

    作中ではこれにルールを追加して45段ほどある階段で行う。先に上まで登りきったほうが勝ち。追加されたルールは任意の場所に3個爆弾を仕掛けることが出来る。それを踏んだら10段下がるというルール。もちろん本物の爆弾ではないルール上の呼び名(作中ではもっと複雑)。

    この「地雷グリコ」で高1の主人公が勝利したことで、いろいろなゲームに巻き込まれていく。ゲームをする中で、主人公の考えや過去の友人関係、こだわりなどが明らかにされる。最終的には高校対抗戦まで駆り出されることになる。

    演技、駆け引き、騙し合いなど、およそ高校生とは思えない戦いが繰り広げられる。主人公は相手がどのような生存戦略で行きていこうとしてるかという観点で周りの人間を判断していく。それはそれで合理的にも思えるが寂しい気もする。

    2025年版このミステリーがすごい!の国内編一位のミステリー小説。2024年に書かれた小説。

    話題になった時は面白いのか疑問だった。読みやすくて面白い。もっと数学勉強しとけば更に面白かったろうな。